AKARI HIGUCHI

始めて通った声優養成所/老舗のスパルタ教育【Story:1】

始めて通った声優養成所/老舗のスパルタ教育【Story:1】

始めて通った声優養成所/老舗のスパルタ教育

私が声優になる為に上京してきたのは、今から約15年前。(※この記事を書いたのは2013年です)

数ある養成所の中から自分が選んだのは、知る人ぞ知る、「鉄腕アトム」のお茶の水博士の声をアテていた声優・勝田久(かつたひさし)氏が経営する養成所・「勝田声優学院」だった。

私がここを選んだ理由は、基礎からしっかりみっちり教えてもらえること、そして、実際に現場に出て活躍している役者が多数輩出されているという、確かな実績があったからだ。
実際ここの卒業生には、第一線で活躍している有名な先輩たちが多数存在する。

勝田声優学院というところは、とても親切な養成所である。
何がどう親切かと言うと。

入学した一番最初の段階で、向いていない人にはきちんと「向いてないから辞めなさい」と言うところだ。
そう言われてすぐに引っ込むようなタイプでは、到底業界では生きていけない。
言われても尚、喰らい付いていくくらいの気概がないとやっていけない世界なのだという非常に大事なことを、しょっぱなからジワリと教えてくれるわけだ。
(早速次の日から来ない奴が出はじめるw)

最初の授業ではまず、業界の根本的なことを叩き込まれる。
勝田学院長は、ホワイトボードに「優勝劣敗」という文字を書き、それを指しながら「私達の業界は書いて字のごとくだ」と、ニコニコしながら話した。

クラスの中には、やる気満々でウザいくらいの人間もいれば、見るからにオドオドしている人間もいて。
さて、自分はこの中で果たして残っていけるのだろうかと。
考えていたところで、学院長が一言。

「一ヶ月も経てば、人数は3分の1くらい減ります」

へ、へぇ….(汗)

学院長は相変わらずニコニコしながら、手に持っていたテキストを開いた。

~続く~

この記事を書いたのは...

AKARI HIGUCHI
幼少期より吹き替え映画やアニメに慣れ親しみ、自然と声の世界を目指すようになる。2003年に俳協に正式所属。念願の吹き替え仕事を中心に、アニメ・ボイスオーバー・ナレーション等も幅広く手がけるように。
クールな役柄が多いが、持ち前の伸縮自在の声帯(秘技・声帯七変化)を使い、子供から大人まで老若男女、幅広いキャラクターを演じ分ける。また、ドキュメント系からバラエティ系まで、ナレーションも幅広くこなす。2011年3月よりフリーランスとして活動を開始。